橈骨遠位端骨折
橈骨遠位端骨折は、手首の骨(橈骨)が折れてしまった状態を指します。
橈骨遠位端骨折の症状
強い手関節痛があり、短時間で腫れてきます。食器のフォーク状に、手が変形します。
まれに、強い腫脹や折れた骨に神経圧迫され、しびれがでることもあります。
橈骨遠位端骨折の原因や病態
高齢の場合、転倒して手をついて受傷することがほとんどです。
若年者の場合、自転車、バイク、転落など高エネルギーの外傷で骨折します。
閉経後の女性は、女性ホルモンが減少し、骨粗鬆症のため骨が脆くなって簡単に骨折します。
10歳前後までの子供では、骨膜が分厚く、不完全骨折することが多いです。若木骨折という特徴的な骨折の形態を示します。また自家矯正力が旺盛で、骨の癒合も早いため、よほどズレてないかぎり手術になることはありません。
前腕には、もう1個尺骨という骨があり、その先端部分の尺骨茎状突起が、一緒に骨折することがあります。これは、手をついて橈骨遠位端が骨折したときに、尺骨も靭帯に引っ張られてしまうためです。
橈骨遠位端骨折の診断方法
橈骨遠位端骨折が疑われる場合、まずはレントゲン検査をします。レントゲンだけで手術適応か分からない場合はCT検査も行うことがあります。
それら検査の結果を見ながら、治療方針を決定します。
ただ、まれにMRIでしか診断できない微小な骨折もあります。この場合、手術になることはなくギプス固定など、保存的治療になります。
橈骨遠位端骨折の治療
骨のズレが小さい場合や安定している場合
ギプス固定など保存的に治療します。
固定期間は、年齢、経過によりますが概ね1ヶ月前後です。
ズレが大きく、不安定な場合
手術で骨をプレートやワイヤーで固定します。
10歳前後までの子供の場合
ワイヤー2本程度で固定し、術後ギプス1ヶ月程度固定します。ギプス除去時、ワイヤーも一緒に抜去します。外来で簡単に抜去できます。プレート固定になることはありません。
青年層や高齢者の場合
プレート固定になります。
青年層であれば、術後1年前後でプレートを除去する再手術することが多いです。
高齢者の場合、除去せずにそのまま置いておくことが多いです。
最近のプレート機械は、改良され固定力が良いため、早期に関節動かすリハビリを開始できます。
術後1ヶ月で日常生活レベル、術後2ヶ月程度で重労働など負荷のかかる仕事復帰を目指します。
橈骨遠位端骨折で起きるかもしれない合併症
母指を曲げたり伸ばしたりする腱の断裂、骨折部がズレてきたり、偽関節という骨が癒合しない場合などがあります。その場合、再手術になることもあります。
またしびれや疼痛残存、関節の動きが悪くなる場合もあります。上記のような合併症リスクはありますが、ほとんどの方は、日常生活や仕事復帰にそこまで支障なく治癒される場合が多いです。